金属内包フラーレンの生成・単離および構造と物性


Dy@C60分子 Dy@C82分子
Dy@C60 Dy@C82

 フラーレンは内部が中空になっているために,ケージ内に原子を内包することが可能です.このうち,アルカリ土類金属やランタノイド金属を内包したものは,金属内包フラーレンと呼ばれ,内部の金属原子からケージへの電荷移動が起こることが報告されています.同様に金属原子からフラーレンケージへの電荷が起こる金属ドープフラーレンでは,超伝導をはじめとする興味深い物性が報告されていることから.金属内包フラーレンについても電荷移動による新奇な物性の発現が期待されています,そこで、現在、当研究室では金属内包C60(M@C60, M: 金属原子)と金属内包C82(M@C82)を対象に研究を行なっています。

 まず,M@C60に関しては,当研究室により,その抽出法ならびに精製法が確立されております.また,金属原子がC60ケージ内の中心からずれた位置に存在する,ということを明らかにしました.さらに現在,固体試料を用いた構造ならびに物性の解明にも取り組んでおります.

 次に,M@C82に関してですが,M@C82はM@C60の場合とは異なり異性体が存在しますので,異性体分離を行った上での研究が必要となります.そこで,Dy@C82を対象に研究を行い,その異性体分離に成功し,異性体分離した固体試料を得て,結晶構造ならびに物性の解明を行っております.

 現在はさらなる新規な物性の発現を目指して,金属内包フラーレンへの金属ドーピングにも取り組んでおります.また,金属内包フラーレンを用いたFET構造の作成など、当研究室の他の課題と連携した研究についても開始しています。


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