我々のグループでは,フラーレン薄膜を用いたFET超伝導に向けた研究を2001年4月より開始して,現在までにC60とC70薄膜でのFET特性の観測に成功しています(図参照).同種の実験は,国内でも,他に二グループで観測されているようですが,我々は,さらに金属内包フラーレンへのキャリア導入や誘電率の高いゲート絶縁膜の作製に向けた研究を行っています.FET超伝導が薄膜で実現できれば,現実的な超伝導デバイスとして,超高速コンピューターや医療イメージング装置を始めとする様々な機器の革新技術となることが期待されます.また,FET化学として様々な超伝導体を容易に作製することも可能になります.さらに,FET超伝導は,物理や化学にとっても解明すべき多くの謎を含んでおり,サイエンスとしても非常に興味深いものと言えます.